記憶に残る五百川君!!…平成27年3月

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 五百川(イオカワ)君が入塾したのは、平成22年の暮れも押し迫った12月21日でした。
前週14日に初めて名取教室に来て体験し2回目に入塾しましたが、住まいは福島市だとのことです。よく話を聞いてみると仙台高等専門学校の1年生で名取市に毎日福島から通って来ているとのこと。何となく頼りなさそうなあどけさが残っている少年でした。無理もありませんまだ16歳なのですから。そんな子供のような五百川君が福島から電車で名取駅に来て、駅から学校まで自転車で通い、授業が終わってから自転車で名取市武道館まで来て合気道の稽古をして、また自転車で駅まで行って東北本線の上りに乗って福島まで帰るとのことでした。
 一年の中でも昼が一番短く、しかも自転車であちこちするにはかなり寒い季節です。こんな子供のような五百川君が厳しい環境の中で続けられるのかな?という不安な気持ちが私にはありましたが、本人がぜひ入塾したいと言うのですから、拒否することもありません。
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 しかし、翌週からは冬休みというかお正月休みです。翌年の1月11日から正式な塾生としての稽古が始まりました。週1回ですが3月8日までは一日も休まずに稽古に来ておりましたが、あの「3,11」の大震災。名取市も海岸を抱えておりますので甚大な被害を受けました。武道館も当然使用できません。
結局震災から2年以上、平成25年4月2日まで名取教室は武道館が使えなかったため休会せざるを得ませんでした。
 その間、名取教室の一般の部の方からは、「自宅とお母さんが流されたので当分お休みします」とか、「支店が無くなったので既に関西に引っ越してきていますので退塾します」とかの連絡があった塾生もいました。
その頃は塾全体でも、私自身も混乱していましたので、名取教室だけのことを考える事は出来ず全体で500名以上いた塾生が現在はどうなっているか見当もつかない状態が続いていました。
 五百川君も結局そのままお休みしておりましたが、5月の連休明けに仙台南道場に現れました。お父さんの仕事の都合で仙台に引っ越したとのことです。そして、名取教室から仙台南道場の所属に移動届を出して稽古を再開いたしました。
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 仙台といっても住所は落合です。私どもの教室がない所です。通うと言っても本当は大変です。高校生ですから車を持っていません。
 落合駅から仙山線で仙台駅まで来て、東北本線上りに乗り換え太子堂駅、そこから徒歩で15分~20分。普段の学校帰りは、名取駅から東北本線で太子堂に途中下車して仙台南道場に通っていました。
そのうち利府道場にも稽古に来るようになりました。仙台南道場は水・金・土・日が稽古日です。利府道場は火・木・土・日です。利府道場は仙台南道場よりももっと大変です。朝は落合駅から仙台駅まで来て乗り換え、東北本線上りに乗って名取駅で下車、学校まで自転車です。授業が終わり、東北本線下りで仙台駅まで、乗り換えなしでそのまま岩切方面に行く電車もありますが、本数は少ないのでほとんどは乗り換えです。仙台駅発の下り東北本線に乗って岩切駅で下車。
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 仙台駅からだけを考えますと、岩切駅も太子堂駅も東北本線で仙台駅から上りと下りそれぞれ2駅ですからそれほどの違いはなく、まあまあ便利なのですが、駅から歩くとなると岩切駅からは約4キロですから早足でも40~50分はかかります。何も持たなくとも大変ですが、学校帰りでは道衣と教科書などの学校の道具もあります。並みの大人でも大変です。少なくとも私であれば途中で挫折していたことでしょう。
 一般の部の方は自分が通いたいと思えば、ほとんどの方が車ですから荷物の重さも夏の暑さも冬の寒さも気にすることはありませんが、五百川君は電車を乗り継ぎしかも暗い道を歩きです。雨風の強い日などは大変です。それだけでもよほど強い精神力が必要だと思われます。五百川君の唯一の利点は高校生であるがゆえの比較的に時間的な余裕があることでしょうか。
 特別な事がある日とかテスト中などを除けば、ほとんど毎日のように稽古に通ってきました。この頑張りは特筆に値すると思います。仙台高等専門学校は5年生です。最終学年の昨年12月の誕生日には20歳を迎え、神武錬成塾の忘年会デビューも無事果たしました。
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 そして、先月15日の昇級昇段審査会で弐段に合格。25日の仙台南道場での稽古が最後となりました。五百川君が最後の稽古であると皆さんに声掛けをしたところ、平日の水曜日で年度末ということもあり、稽古の始まりは9人しかいませんでしたが遅れて来た人も徐々に増え、稽古の終盤は20人を超える人が集まりました。私どもでは昇段をした人、また特別な人が塾を去る時に盛大なお祝いをすることにしております。その日も稽古終了15分前に全員が丸くなって五百川君を囲み最初に私が10本連続で技をかけます。そして、塾生が次々に技をかけていきます。一通り終わった後は、次は五百川君が技をかけます。最初に私が連続10本受けを取り、次に塾生が受けを取ります。たっぷり15分使って終了。最後は全員の拍手です。これだけ多くの塾生に惜しまれてのお別れは初めてかもしれません。それだけ五百川君の人柄がよく、皆さんに好かれていた証拠でもあります。
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 稽古が終わり掃除も終えましたが、若手の皆さんは名残惜しいのか直ぐには帰らず次々と五百川君と稽古を始めたり、五百川君が休んでいる時にはお互いに投げたり投げられたり、さながら演武会前の真剣な稽古の様子を呈してきました。21時に稽古終了、掃除を挟みそこから永遠と23時近くになりましたが終わりそうにもありません。切りがないのと止めにくい雰囲気でもありましたから、「そろそろ終わりにしよう」とのわたしの声掛けでようやくお披楽喜と致しました。最後まで10人以上の方が残っていました。
「一期一会」、「逢うは別れの始め」といいます。何時までも五百川君を留めておくわけにもいきません。名残惜しいですがお別れです。彼ならどこに行っても立派な社会人となることでしょう。転勤の時にはほとんどの方が退塾していきますが、就職して落ち着き時間が取れたら時々稽古に来たいので退塾したくないという本人の希望で道場の名札はそのままにしておくことにしました。
 五百川君!! お疲れ様。社会人になっても体に気をつけて今までと同じように頑張ってください。五百川君ならどこに行っても皆さんにかわいがられることでしょう。
 五百川君元気で!! 頑張れ五百川君!!
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by shinbu_369 | 2015-04-06 23:46