湯殿山滝行/平成26年8月

昨年の「全東北合気道連盟講習会」は、山形県合気道連盟が主管となって出羽三山の中の「羽黒山・湯殿山」で行われました。
一日目は羽黒山の表参道の石段・2446段を登り、二日目は湯殿山で滝行を行いました。道場長をはじめ若手の人たちはこの滝行がすっかり気に入り、来年はぜひ神武錬成塾で独自に行きましょうという要望がありましたので、年間のスケジュールに入れておきました。
8月24日(日)午前8時に仙台南道場を参加者13人が車3台に分乗して出発。約1時間半強高速道路をひた走り、9時半過ぎに湯殿山の駐車場に着きました。
早速参籠所で事前に申し込んでおいた、わらじ、ふんどし、鉢巻きなどを身につけ、着替えて出発しました。昨年同様沢に入る前に「鳥船の行」を行い「お沢掛け」です。お沢掛けとは参籠所を少し行った所から沢に入って滝に至るまで、沢を歩いていくことです。

沢ですから、冷たい水の中に入ったり、岩から岩に飛び移ったりしながら上流に登って行くのです。昨年は100人以上の団体でしたから滝まで50~60分かかりましたが、今回は13名です。30~40分で滝口に着きました。このお沢掛けをすることにより、程良い準備運動になりますが、なによりも何度か沢水に入りますので水への適用力がつくということです。普通海水浴とか、水風呂に入る場合でも心臓より遠いところから水に入り徐々にならしていくということをしますが、滝に着いた時にはそれが自然に済んでいるという優れたシステムです。滝口で湯殿山の若い神官さんが待って下さっていました。その神官さんの指導で滝つぼの周辺でもう一度「鳥船の行」を行い滝に打たれました。

……その感想は後の塾生の感想文をお読みください。……
全員無事に滝行を終え、鉄の梯子を登ってご本宮に着きました。湯殿山はお湯がわきだしている小高く盛り上がっている所をご神体としていますので、いわゆる御本殿という建物はありません。祓い料を納めご本宮に入場し、初穂料を納めさせていただき、全員そろって「お祓ひ」を受け祝詞を上げてもらい、私が代表で玉串を捧げさせていただきました。思い思いに参拝を済ませ足湯でしばらく休んだ後、ご本宮から参籠所までバスが出ていますが滝行を済ませた満足感で高揚した気分を大事にしながら全員参籠所に向かってゆっくり歩いて下りました。着替えを済ませて参籠所の「お沢膳」を皆さんで美味しくいただきました。この湯殿山の滝行は私が一時神道の教団に関わっていた時に、希望の信者さんを案内して十何年にも亘って年に2回行ってきたところです。20年以上も前のことではありますが、この経験がなければとても塾生を引率しての今回の滝行とはならなかったと思っております。

『湯殿山滝行感想文』
仙台南道場 高城 久嘉
滝行といいますと、多くの人には馴染みのない、どこか別次元にある世界のようなものかと思います。私自身、昨年までは考えたこともないことでした。
今年、神武錬成塾で滝行を行うということを知り、絶対参加したいと思っておりましたが、願いがかない、参加させていただく運びとなりました。
当日は前日前々日の雨が嘘のように晴天に恵まれ、絶好の滝行日和でした。滝どころか、雷に打たれるのではと心配していたので、ラッキーでした。

湯殿山に着くと、恐ろしく巨大な鳥居が待ち構えており、観光気分になりましたが、すぐに滝行の準備に入ります。鉢巻と褌、草鞋に履き替え出発しました。思えば、褌を履くのも、草鞋を履くのも、初めての経験でとても新鮮でした。
滝に向かうと、普通の道路の途中に、脇道があり、そこから滝を目指します。普通の人は、こんなところに道があるとは思わないことでしょう。暫く山道を歩くのですが、足を滑らせまして、手に持っていたお賽銭を落としてしまいました。諦めたのですが、後続の由美さんが奇跡的に見つけて拾ってくれていました。由美さんと神様に感謝です。
滝口に着くと、滝に打たれる前に天の鳥船の行を行いました。その際に、和歌を唱和するのですが、きちんと言えなかったので、予習しておけばよかったと思います。
「朝夕に神の御前(みまえ)にみそぎして、すめらが御代(みよ)に仕えまつらむ」
「遠つ神固め修めし大八州(おおやしま)、天地(あめつち)共にとはに栄えむ」
「天津神(あまつかみ)國津神(くにつかみ)たちみそなはせ、おもひたけびて我が為す業(わざ)を」

今はインターネットの時代。ちょっと調べれば出てきます。予習をしておけばよかったと悔やみました。
実際の滝行ですが、初めての経験のためか、ベストな位置取りが出来ず、息継ぎが出来ない場所での若干不本意な滝行となりました。来年また機会があれば、再挑戦したいと思います。
滝行が終わると、本殿でお祓いをしてもらうのですが、ここで一般の観光客と合流します。道無き道から出てくる白装束集団に目を丸くしていたのが、とても面白かったです。
お祓いの後、足湯に浸かり、至福の時を過ごし滝行終了です。
その後食事をし、ひとときの湯殿山観光をしましたが、即身仏が非常に印象的でした。究極の自己犠牲と申しますか、自分の命を捨ててまで人々を救済しようとする人がこの世に存在するという事実だけでも、救われたような気分になります。
帰りは朝とは打って変わって、まさに滝のような大雨となりました。道場までバイクで来ていたため、一日に二度目の”滝行”を行いズブ濡れになって帰宅しました。
事故なくすべての行程を終えることができてよかったです。
最後になりますが、クルマを運転していただいた、塾長、竜次先生、土屋さん、ありがとうございました。
『滝行に参加して』
仙台南道場 嶋田 浩之
■参加のきっかけ
滝行には昨年から興味を持っておりました。
歳のせいもありますが、ここ半年ほどの間、公私ともに様々な事がありました。
職場では半分冗談ではありますが、「お祓いしたほうが良いのでは?」などと言われることもありましたので、思い切って滝行に参加させていただきました。
■意外に近い湯殿山
ナビによると、仙台南道場から湯殿山まで約130km。高速を使って意外にあっさり到着しました。
参籠所にてフンドシ、道着、はちまきに着替え、草鞋の紐をしっかり結んで準備完了。
大鳥居の下で記念撮影の後、早速山を登り始め、途中の広場で鳥船の行を行い、気合を入れます。
■楽しい「御沢駆け」
やがて現れる鮮やかな朱色の橋。橋の下には滝から続く沢が流れています。
橋の手前には、常世(とこよ)と現世(うつしよ)を分ける「常世岐姫神社」の石碑。
その脇から草木の生い茂る「神域」へと分け入り、いよいよ「御沢駆け」が始まります。
道は「けもの道」程度の広さでしたが、ぬかるみには踏み板が敷いてあったり、大きな段差には梯子がかけてあるなど、「なんとか通れる」という程度には手が入れてありました。
とは言え、岩を飛んで沢を横切り、足場を選びながら慎重かつ大胆に岩場をよじ登る、危険と隣合わせの状況に、自然と精神が研ぎ澄まされ、同時に童心に返ったような「楽しい!」という気持ちが溢れてきました。
「危険の中に身を置くことで、生をより強く実感できた」という事なのでしょうか。■気合を入れて、いざ滝行
膝が若干震え始め、あとどれほど登るのだろう? と不安に感じ始めた時でした。
沢の奥に立派な2つの滝が現れました。
(後で地図で見たら、「御沢駆け」は直線距離にして400m程度でした。)
滝の前で道着を脱ぎ、湯殿山神社の方の指導のもと、滝行の前の鳥船の行を行います。
轟音の中、滝からの風圧や水しぶきを感じながら、精一杯に声を出し気合を入れました。
神社の方が最初に滝に入り、お手本を見せます。・・・長い。・・・さすがはプロ。
そして、私達の番です。
いざ、滝に触れると水の冷たさを実感し、改めて気合を振り絞ります。
さらに進んで、滝の中心に近づくと、水の勢いに圧倒されます。
前に、後ろにと倒されながら、なんとか立っていられる場所を探して手を合わせます。
「ハラエドノオオカミ、ハラエドノオオカミ(祓戸大神)!」
ちゃんと唱えていたかどうか記憶にありません。
冷たい、息ができない、鉢巻がヅリ落ちて前が見えない・・・。
そして、おそらく30秒程度でギブアップ。次はもっと頑張るぞと決意。
それでも終わった後は、心も体もスッキリとして、本当に清々しい気持ちになりました。
ちなみに水温は、10度以上はあったと思います。(冷たいと書きましたが。)
■クライマックスは最後にやってきた
滝行の後は湯殿山神社に参拝し、参籠所に戻って、着替え、昼食、観光となりました。
境内には「即身成仏」のレプリカや立て札があり、心惹かれつつ3台の車に分乗して帰路につきました。
ナビの通りに進むと「大日坊まであと3.5km」の看板を発見。
「即身成仏」が安置されるお寺として、さっき立て札で見た名前です。
3台の車のうち、塾長の車に乗った塾長と四ツ目さん、中島さん、私だけが、大日坊に寄ることにしました。
その時は気づかなかったのですが、私達の車だけ本来の帰路とは反対方向に進んでいたようで、まるで何かに呼び寄せられたように思われました。
大日坊瀧水寺に到着するとすぐに本堂に案内され、真言密教の祈祷を受けた後、お寺や湯殿山にまつわる歴史など大変興味深いお話を聞くことができ、「即身成仏」もしっかり拝観しました。
■来年に向けて
今回の滝行を通して、私は本当に貴重な経験をすることができました。
塾長先生を始め、ご準備に当たられた皆様、ご参加の皆様、本当にありがとうございました。
是非来年も参加させていただきたいと思っております。
他の塾生の皆様にも、次回のご参加を強くおすすめします。
◆滝行の写真はこちら
