
夏合宿に参加してまいりました。今夏は「越後中里」でした。仙台から行くには大変不便です。車では遠いし、電車だと東北新幹線で一度大宮に行き、そこで上越新幹線に乗り換えなければなりません。そして、越後湯沢から上越線に乗り換えて越後湯沢までなのですが、この上越線も1時間に2本くらいしかありませんので、乗り換えには大変不便です。なぜこんな不便な所で行うのと学生に聞きましたら、東京からは1時間半もあれば越後中里に着くのです。OBの先輩方も来られやすいように合宿所を選んでいるとのことでした。
自分が住んでいるところから考えるのと、東京から考えるのではこのように天地ほどの差が出てくるのです。

いわゆる「地政学」ということが一瞬頭に浮かびました。奥山真司氏が唱える「地政学」ここでは紙面の都合上書けませんが、日本人が一番不得意にしているのがこの地政学であり、そもそも日本にはこの地政学が発達してこなかったのだそうです。
とにかく越後は東京からは近くて仙台からは遠いのです。
8月29日の夕方越後中里駅に着き、主将の佐々木君が出迎えてくれました。駅からは徒歩3~4分のところに宿舎があります。
今回学生から合宿に来るよう要請がありましたが、五十嵐監督が9月2日~3日、巳城コーチが8月31日~9月1日と行かれるので、その日以外に私が行って指導すれば学生自身が指導する時間が無くなるので、せっかくの合宿なのにそれでは気の毒だから合宿には行かない方がいいのでは? と何度か辞退をしましたが「大丈夫です。夜間稽古もあるし自分たちだけでの稽古はいくらでも取れるからぜひ来てください」という要望でした。

かわいい後輩に頼まれれば行かないわけにはまいりません。監督に許可をいただき出かけて行ったというわけです。
今までも仙台の近くで合宿が行われる場合はいそいそと出かけて行きましたが、遠い時にはやはり参加しておりませんでした。昨年レジェップから先輩たまには道場に来て指導してくださいという要望があり、それから上京した時には明大の道場に行って一緒に稽古をしたり、合宿にも行ったりして最近は現役学生との繋がりが深くなりつつあります。繋がりが深くなるとそれまでは新入生歓迎コンパ、追い出しコンパなどには出席しておりませんでしたが、案内がくれば時間を取って出来るだけ出席するよう心がけるようになりました。繋がりが出来ると学生はかわいいものです。「今の若者は…」明治の時代から言われていた、いや江戸時代でもそのような言い方があったと言われていますが、たしかに今どきの若者は何を考えているか分からないし、いやな事件もいっぱいありますが明大の合気道部の学生に限ってはほんとにいい子たちばかりです。こんな子供達ばかりが社会に巣立っていけばきっといい社会になるだろうと思うのは余りにもひいき目が過ぎるでしょうか?

とにかく、29日の夕方に着き、その日に夜間稽古を行いました。
合宿中は禁酒禁煙になりました。私たちの時代はもちろんそうでしたが、禁煙は当然としてお酒はいつのころからか解禁になっていました。そこでOBが参加するたび夜は宴会という状態になっていました。昨年本来の合宿のあり方に戻したいと五十嵐監督がOB会総会で宣言し、合宿中は最後の打ち上げまで禁酒ということになりました。OBにしてみれば母校の合宿に行って学生と飲むという楽しみは無くなったかもしれませんが、OB のための合宿ではなく、現役のための合宿です。考えてみれば当たり前のことかもしれません。
そのようなわけで、夕食後OBの私とのアルコール抜きのコンパが開かれました。ウーロン茶などでコの字形になって色々な話し合いです。私の前には時々学生が変わり話しかけてきます。なかなかいいかも知れません。アルコール抜きも。
次の日は、朝食後「午前の部」「午後の部」「夜間の部」と一日中学生につきあって稽古をいたしました。朝食後も、稽古の後の休憩時も、一年生が部屋にお茶を運んでくれます。

部屋に入る前に「明治大学体育会合気道部一年部員の○〇です。お茶を持ってまいりましたが入ってよろしいでしょうか」とノックの後、大きな声をかけてくれます。そして、お茶と一緒に必ずお絞りを持ってきて、冷たいお茶と暖かいお茶とどちらがよろしいでしょうか?と至れり尽くせりです。いまどき体育会の学生でなければこんな経験は出来ないだろうなぁ~と思いつつお茶を入れてくれるのを見ています。自分の家では逆に冷たいお茶と暖かいお茶とどちらがいいと母親に聞かれてお茶を入れてもらっているかも知れないのです。体育会に入っていなければ恐らくこんな経験を一度もすることなく卒業していくのでしょうから本当に貴重な体験かもしれません。
この日は平成10年度卒の中西君、平成21年度卒の柳橋君も参加しました。柳橋君は平成21年に全東北合気道演武大会を仙台で行った時にゆかりの先生ということで小林保雄 先生を招聘した時に小林先生のお供で仙台に来ましたし、幹部の時の合宿は越後湯沢で行いその時に呼ばれて私が行ったり、卒業旅行で平成22年3月に仙台に来て私の道場で稽古して泊ったこともあったりした中です。その中西君、柳橋君が入り夜はまたアルコール抜きのコンパです。この夏合宿で4年生は3年生に幹部を引き継ぎます。この引き継ぎは私たちの代くらいから始まった、引き継ぎの儀式20分間の投げっぱなしの稽古があります。文字通り次期幹部はただ20分間投げられっぱなし、無心になって受けを取るのみです。これは激しくも感動的な儀式です。今回も無事引き継がれて第57代の幹部が出来上がるのだろうと思いながら合宿所を後にいたしました。

佐々木奨主将1年間お疲れ様。そして次期主将千葉純平君今後1年間頑張ってください。
2泊3日の合宿を終え、31日に仙台に帰り一服してそのまま利府道場の稽古に向かいました。楽しい学生との合宿でした。